Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 115

天候不順な6月でしたが、お変わりなくお過ごしでしたでしょうか。
当社のブランドであります「フェーズメーション」への移行は、皆様のご理解によってブランド名「フェーズ テック」から順調に移行しつつありますが、一層の速やかな移行へと加速出来るよう願っております。
当社の商品系列に、「シグニチァ・シリーズ」がありますが、その事に少し触れさせていただきます。
お客様と我々メーカーがオーディオに付いて真摯に対峙し、お客様にオーディオ機器の真の姿をご理解頂き、その上で、音楽を語り合える関係を構築したいと言う私の我侭な期待に沿って立ち上げたシリーズであります。
お陰様で、最近では我々スタッフの手が足りなくなると言う、当初予期せぬ方向へ発展してきています。考えてみると当たり前の事で、それを期待していたと言うことで、嬉しい情況になっています。
メーカーの技術者が顧客と接触し、設置チューニングの中核技術をご提供出来ることが、オーディオファンにとって如何に重要であるか改めて考えさせられています。
失いかけたオーディオ業界、再生音楽ファンの方々の信用回復に繋げたいと思うに至っています。
オーディオは、食の世界と同じで、食して見なければわからない、比較して見なければ判らない。ウニが美味いと言っても、殻つきと剥いて売られているものでは別物と言って良いくらいの差があると言う事。鳥貝などガムの様に硬いものから「ふわっ」としたものまでピンキリであり、美味いものはそれなりに良い値段であるけど、安くてもガムのようなものはタダでも御免であります。
車でも試乗と称して、チョット乗っただけではプロドライバーか、よほど車に精通した人でないと判らないと言うことです。特にドイツ車と国産車の違いなど、差は分かっても逆の評価になってしまう可能性が大であります。
悪いことに、オーディオ機器は、試してみる事が中々難しく、しかも自分の使用条件下でとなると躊躇するものです。しかし、世の中には、「あれ持って来い、これ持ってこい」と、言いつつ何も買わない人もいるぐらいですから、買うからには遠慮なく自宅での視聴を繰り返すべきで、ブランドほど「自分に合うとか合わないとか」の面で信用出来ないものは無いと言う事を肝に命ずべきです。
ですから、これを嫌がるメーカーや販売業者は信用しない方が良いでしょう。とは云え、数百kgもあるスピーカーシステムなどはチョッと問題がありますが、それとて工夫の仕方があります。
但し、私の言っているのは、ラジカセのようなものではなく、セットにして200万円クラス以上の高級器ないし、相当するコンポーネントに付いて言っているのです。

6月のサマリー
1.新国立劇場 ワグナー/オペラ「ローエングリン」
2.横浜みなとみらいホール パーボ・ヤルビ/フランクフルト放送交響楽団演奏会
3.八ヶ岳高原ロッジ 大谷康子 バイオリン演奏会
4.神奈川フィルハーモニー定期演奏会
5.高輪会 オペラコンサート

1.新国立劇場 ワグナー オペラ/「ローエングリン」
6月1日(金)17:00開演で行ってきました。
この公演は、今シーズンに於ける最高の出来栄えだったと思います。前月公演の「ドンジョバンニ」の不出来と比較すると、この差は「何なんだ」と言いたくなりますが、このバラつきこそ手づくりの妙であり、芸術の妙と言うものであろうかと思うのです。
だからこそ、新国立劇場を応援し私自身も嵌まってしまう原点でありましょう。兎に角素晴らしい出来栄えでありました。
特にローエングリンを演じたテノール歌手のクラウス・クリアン・フォークトは素晴らしい歌手でありまして、近年まれに見る名歌手と言えましょう。一部のマニアの方やプロの間では既に有名な部に入っているようです。
何と言っても容姿がローエングリンにぴったりでありまして、これ程似合った役者もそうはいるものでは無いでしょう。
ペーター・シュナイダーの指揮による東京フィルハーモニーの演奏も何時になく良い出来栄えだったと思います。加えて、主席コントラバス奏者の黒木さんが、ピット内からご挨拶のサインを頂き、ルンルン気分で、日ごろのストレス解消でありました。

2.横浜みなとみらいホール パーボ・ヤルビ/フランクフルト放送交響楽団演奏会
(バイオリン独奏がヒラリー・ハーン)
6月2日(土)16:00開演 演奏曲目がメンデルスゾーン/V協 ブルックナー/交響曲8番で行ってきました。前日のオペラ/ローエングリンの興奮未だ冷め遣らずの情況でありましたが、コンサート公演日程は意のままにはなりません。
指揮者のパーボ・ヤルビは、フランクフルト放送交響楽団の音楽監督でありますが、パリ管弦楽団や、他の楽団の音楽監督として活動している今、旬の指揮者であります。そして、ヒラリー・ハーンは、もう日本にお馴染みのバイオリン奏者であります。
演奏曲目がメンデルスゾーンのV協とブルックナーの交響曲8番でした。メンデルスゾーンは、音楽観賞入門時から聞き慣れたもので、今更の感はありますが、やはりこのコンビでの演奏となると緊張します。
音響の良い「みなとみらいホール」でのハーンの演奏は、この人のCDを聴く機会が多いだけに、オーディオを職業とする私には又とない機会になった訳です。
ブルックナーの交響曲8番、マニアが言う「ブル・ハチ」です。ほぼ1時間に渡る演奏時間で、自宅での観賞となるとどうしても全曲に渡って緊張する事が難しく、曲の解釈なども未だに極めておりませんが、こうして、高い料金を払ってホールに出向いてくると、それが出来ると言うか、そうなってしまう処があって、オーディオファンにとっても、音楽ファンにとっても、良い生演奏に接することは必須の条件と思うのです。
決して、狭くはない「みなとみらいホール」の舞台が、狭いとばかりに広がったフルオーケストラは実に偉容であり、その奏でる音楽は人間の創り出す極めて緻密なアンサンブルであり、贅沢な創り事であることを改めて感じさせるものでありました。
特に、この曲は名演名録音のCDが多いので、オーディオファン必聴であります。つくづく思うことは、生音楽を聴かずして再生音楽を語って欲しくないと言う事、改めて感じたしだいです。

3.八ヶ岳高原ロッジ・音楽堂 大谷康子バイオリンコンサート
6月16日(日)16:00開演 ピアノ伴奏が藤井一興で、大谷康子ヴァイオリンリサイタルに行ってきました。
前日の15日(土)に家内を伴って横浜を出発し、久し振りに松本在住の一人乗りヘリコプターの開発に専念する柳沢さんご夫妻をお訪ねし、松本の韓国料理にご案内頂きました。韓国料理と言えば焼肉と言う事ですが、当日は韓国のトラディッショナルな料理で、韓国料理がこれ程に洗練されたものである事を知りませんでした。
夕食をご一緒したあと、松本の美しが丘温泉に宿泊し、翌日は佐久にお住まいの元TDK常務であられた江崎さんを訪ねて、その日の午後に八ヶ岳に出向きました。
江崎さんとは、現役時代磁気ヘッドのお仕事で知り合いましたが、アルゼンチンタンゴの趣味でその後もずっとお付き合いさせて頂いていまして、八ヶ岳に出向く折にはいつもお寄りし、最近の磁気記録技術のお話を伺ったり、アルゼンチンタンゴの話に終始しています。
八ヶ岳高原ロッジでの大谷康子さんのコンサートは、始めての企画であります。大谷さんは、東京芸大の教授であり、東京交響楽団のソロコンサートマスターであられます。ここ音楽堂の常連であります千住真理子さんや天満篤子さんとは、このホールのお馴染みでありますが、私は新国立劇場のオケピットや東京交響楽団のコンサート以外での大谷さんの演奏は、始めてでありまして期待に弾むものがありました。
演奏曲目として、サラサーテ/チゴイネルワイゼン、チャルダッシユ、などのバイオリン曲の定番に加えて、世に出ていない作曲家の良い曲を掘り起こし、選んで演奏するところは流石に教育に携わるお立場でもあり、大谷さんの人柄から来る行動のようにも思いました。
当日の演奏会は、音響の良いこのホールでガルネリの音に酔い知れる至福の時であり、千住真理子さんや天満篤子さんのような、オバサン応援団の雰囲気が無い、純音楽コンサートは大変気持ちの良いものでありました。
そして、何と言っても楽しかったことは、私のお客様であり、当社「シグネチャーシリーズ」のファンの松本様ご夫妻に偶然お会いしコンサート後の出演者との食事会にご一緒出来たことです。会場では、大谷康子さんと一緒に写真を撮ったことなど忘れ得ぬ出来事でした。
この写真を掲載したいのですが、大谷さんの許可を得ていないので別途にお見せする事にしますが、大谷さんは美人のお顔立ちで楽しい方でいらっしゃいます。学生時代はモデルのアルバイトをされたそうですから、その筈でなるほどと納得。次の新国立劇場へのピットインは、オペラ/トスカだそうですから、その時はミーハー宜しく手を振ってみることにします。

4.神奈川フィル定期演奏会 R・シュトラウス/歌劇「インテルメッツォ」から、
「暖炉のほとりでの夢想」他と後半ステージが「ツァラトゥストラはかく語りき」
6月22日(金)19:00開演で「みなとみらいホール」に行ってきました。当日演奏曲の「ツァラトゥストラはかく語りき」は、オーディオファンお馴染みの例の曲であります。
出だしのパイプオルガンの重低音とその後に続く大太鼓の連打が醸す低音は、オーディオファンが聞き耳を立てる部分であります。
その曲をここ「みなとみらいホール」での生演奏で聴くのです。どんな高額のオーディオ装置を以ってしても、この生音楽に叶うものは有りません。
この生「音」を聞かずして、もっともらしく、オーディオを語って貰いたくないものであります。
この曲は、映画音楽として使われたり、プレスリーが自分のテーマ曲に使用したりして、巷でよく聞く音楽の部類でありますが、全曲を通して聴くと結構難しい曲で、R・シュトラウスらしいメロディーと不協和音がつくる独特の世界を醸します。
当日は、何時もより少し早めの終演時間となり、何時ものすし屋でゆっくり過ごす事が出来、何時に無く月1回の定期演奏会の至福の時を感じるものでした。そして、この定期演奏会も7月と8月はお休みであります。

5.高輪会 オペラコンサート アンドレア・シェニエ
6月30日(土)12:00開演、グランドプリンスホテル新高輪内レストラン イル・レオーネに行ってきました。6月の最終日でありまして、この日を待ってこのコラムを書き終えるわけですから、どうしてもコラムのアップが遅れてしまいます、この点お察し下さい。
如何言う訳か、この日は事故に会ったうえに、道路も渋滞箇所が多く、何時もの土曜とは勝手が違って、時間に間に合わせようと私如きが随分と焦りました。結局食事の開始時間に30分遅れで何とか食事にはあり付けましたが、随分とくたびれてしまい宇垣さんの語りが余計に眠気を誘うので困りました。
当日の出演は、アンドレア・シェニエ役が、今世界で活躍する水口聡さん(テノール)、ジェラール役が泉良平さん(バリトン)、マッダレーナ役が岩井理花さん(ソプラノ)、と言う陣容でして、現時点では不平の言い様の無い豪華キャストと言って良いでしょう。
しかし、岩井理花さんは嘗ての力強いソプラノを聴くことが出来ましたが、ソプラノ歌手の宿命でしょうか、高音部の伸びに不安を感じるものが一部にありました。
水口聡さんは、流石に今旬でもあり、世界で活躍するテノール歌手であり、高輪会主催者との永年のご縁も有って、そのサービスぶりには脱帽でありました。お陰でこの100人足らずの小ぶりの部屋で、思い切り歌う水口さんのテノールに聴衆の方々は充分に堪能されたものと思います。かく言う私も極めて満足でありました。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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