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colums会長のコラム

会長のコラム 205

9月のコラムです。

9月初旬は暑い日が続きましたが、やっと秋らしい気候となり、「歳に逆らって頑張るぞ ! 」で有ります。
9月は、コンサートのラッシュでした。会長職になって肩の荷が下りた筈ですが、相変わらず何かに追われている感が拭えない。創業者の性か、いや、人間修行の足りなさの所以であろう、「心して掛からなければ」とは、何時も思うことであります。
拙宅のシステムは、考えることが絶えずに、現状3チャンネルで進めていましたが、4チャンネルにシステムアップする事にしました。今月は、その概要のご紹介に止め、写真のようになる筈で、未だ通電は出来ていません。詳細は「火入れ」後に思い巡らした経過を含めて、結果などをレポートする事にします。
と言うことで、今月のコラム205は、芸術の秋に相応しく、コンサートの体験に紙面を割きました。

スーパーウーファー : JVC IK-38 + JIS箱
ウーファー : WE-416 + 音研型箱
ミッド・ロー : フォスター・ウッド・ホーン H300 + WE-555
ミッド・ハイ : ゴトー ホーンS600 + SG370/BL
ハイ : ゴトー ツイターSG-16/BL

今月のコンサートライフです。
9月5日 日本オペラ振興会主催による、ロッシーニ/オペラ「ランスへの旅」に新国立劇場へ14:00開演で行って来ました。この日本オペラ振興会は、藤原歌劇団のことで、新国立劇場のオペラパレスを借り切っての公演でありました。
公演は、4日間の公演ですが2日間ずつのダブルキャストで、全てのキャストが2日間で入れ替わります。これは大変なことで莫大な経費が掛かると思うのですが、チケット代はS席の最上席で14,000円と考えられない低価格であります。これと言うのも藤原歌劇団の運営方針なのでしようか、所属歌手の舞台経験維持のためと言う事なのでしょう。私の鑑賞日は、砂川涼子、中島郁子、佐藤美枝子などの世界で通用する歌手が揃って出演した豪華なメンバー構成でありました。
当日の指揮が、園田隆一郎、オーケストラが東京フィルハーモニー、合唱が藤原歌劇団合唱部、新国立劇場合唱団、二期会合唱団、と言う豪華なものでした。
このオペラは、ロッシーニの有り余る才能の成せる技と言えます。オペラの形式を整えていないと言う事で、ロッシーニは3回ほど上演し、以後は頑として上演を認めず、封印してしまい、1984年近代になるまで日の目を見ずに、160年ぶりにクラウディオ・アバドによって上演されたと言う、曰く付きのオペラであります。
このオペラには、ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトンなどのパートに、ベテラン歌手が13名も要し、素晴らしい音楽が展開されます。このことから、上演が極めて難しく、ここ近年でも公演の機会が少ないオペラです。
概略の内容は、1825年、ランスで行われる国王の載冠式に、招かれた土地の名士たちがこぞって参加する為に、馬車の出発を待つホテルでの出来事に終始し、ストーリーらしきものは殆どありません。と言うのも、その馬車が急に何かの都合で出発できなくなり、その場は、集まった名士たちのドタバタ騒ぎと化し、歌会のようなものになる。その終始をオペラにしたもので、ロッシーニの作曲家としての天才ぶりが発揮された、素晴らしいメロディーが満載されたオペラになっています。
このオペラは、これからも公演の難しい作品でありましょう、今回の公演がオペラパレスで鑑賞出来たことは、運がよかったと言うものです。しかも、演奏会の当日は、ウィークデーのマチネ公演であり、私にとってはこの上無い至福の時を過ごさせてもらいました。音楽に酔い、馴染みのレストランでワインに酔い、言う事なしでありました。

9月7日 土曜神奈川フィル定期演奏会に14:00開演で、みなとみらいホールに行ってきました。演奏曲目が、ラヴェル/管弦楽のための舞踊詩、モーツァルト/ピアノ協奏曲20番、そして後ステージが、ショスタコーヴィチ/交響曲10番でした。
指揮がユージン・ツィガーン。この人は、ショルティー指揮者コンクールに入賞し、ヨーロッパで人気を博す人で、日本では読響、都響、京響などを指揮し、神奈川フィルには初出場です。
ピアノが久元祐子、この人は東京芸大大学院修了後、ヨーロッパに渡りウィーンを始め当地で活躍した人で、ベーゼンドルファーを始めヨーロッパの歴史的ピアノのコレクションと演奏を手掛けており、現在は国立音楽大学の教授を務め、日本人唯一のベーゼンドルファー・アーチストです。
演奏された、モーツァルト/ピアノ協奏曲20番の演奏は、過去に多くの演奏家が名演を残している名曲です。私もレコードを多数持っていて、聞く機会の多い曲です。この人の演奏は、それらに伍して、独自の境地を表現していました。定期演奏会での演奏には大胆不敵の選曲、「聞いてやろうじゃないか」、うん ! なるほど、こう言う解釈もあるか、大いに楽しませて貰いました。やはり生演奏の成せる表現力でしょうか、オーディオ機器の「もの創り」に、目指すべき何かを感じさせられる、だから拙宅のシステムも3CHから4CHへの進化にチャレンジなのであります。
後ステージで演奏されたのが、ショスタコーヴィチ/交響曲10番でした。ショスタコーヴィチは、スターリン政権下で、そのイディオロギーに苦しむのですが、この曲はスターリンが亡くなって短い期間に作曲されたもので、当日の演奏からは、作曲者の揺れ動く感情表現が見事に聞き取れるものでした。特に、不協和音からフォルテに続く演奏場面などに、そのニュアンスが読み取れ、伝わるマインドは生演奏ならではと思いつつも、帰宅後に再度自宅のオーディオ装置で復習してみたのですが、やはり微妙なニュアンスの表現に物足りなさを感じつつ、「らしさ」の表現に不満が残るのです。音楽を勉強した人は別として、楽譜も読めない、楽器も操作出来ない、私レベルの愛好家には、オーディオ機器への不満が募るもの、機器創りの隘路が見えて来るから不幸な音楽ファンかも知れない、コンサートに足しげく通う、お客さんかも知れません。

9月8日 日曜14:00時開演で川崎交響楽団定期演奏会に宮前市民館大ホールに行ってきました。演奏曲目は、モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲と、ベートーベン/ヴァイオリン協奏曲が前ステージ、そして後ステージが、ドボルザーク/交響曲第8番でした。
ヴァイオリン独奏の 崔 樹瑛、 この人は、京都生まれ、東京芸大卒後N 響メンバー、小沢征爾新日本フィルメンバーなどに加わり、現在は音楽のTV 番組、弦楽四重奏メンバーなどで活動を続けており、川崎フィルのコンサートミストレスを務める人です。
ベートーベン/V 協の演奏で聞かせた、カデンツァが独特の風合を表現し、この人のセンスが現れて楽しませてもらいました。そして後ステージのドボルザーク/交響曲8番は、川響独自の境地を現す演奏内容が読み取れ、演奏曲目に「新世界」を選ばなかったのは、正解と言えましょう。川響さんの今後を期待するものでした。
この宮前市民館大ホールは、私の創業時の事務所の近くで、懐かしの土地でした。しかし創業当時は、音楽どころでは無く無我夢中の状況で、この素晴らしい音響ホールの存在を知りませんでした。収容観客数が、1000名に至らないホールの故か、奏者一人ひとりの音が分離して聞こえる程に素晴らしい音響のホールでしたが、残念ながら、近々解体するそうです。
演奏会終了後は、天気が大荒れとなり、例の台風15号襲来が予報されている、その夕刻でしたから、外食ディナーを諦め、早々と帰宅の途に就き幸運でした。

9月12日 木曜18:30開演で、英国ロイヤル・オペラ日本公演に東京文化会館に行ってきました。演奏曲目がシャルル・グノー/オペラ「ファウスト」
指揮がアントニオ・パッパーノ、ロイヤル・オペラ劇場の引っ越し公演であります。
私、このオペラを「生」で観るのは初めてであります。昔、オペラ座の怪人と言う映画を観た時のこと、ここで、このオペラの1 場面が出て来て、一瞬にして惚れ込んでしまったことがあります。以来、「見たい」の期待が募り、パッケージソフトのLP CD 抜粋版などを購入し聞いていましたが、このオペラを観劇する機会に恵まれませんでした。公演時間の長いのが理由かも知れません。そして今回、待望叶っての観劇でした、聞きなれたメロディーが溢れたオペラであり、誰もが望む夢のストーリー、これぞ文化発祥のヨーロッパマインドか、などと思い巡らしつつの鑑賞は、ヨーロッパ文化の凄さ、上品でもあり、人間のグロテスクな欲望表現、などなど、興味尽きない素晴らしいオペラで、楽しませてくれる公演でありました。

9月14日 土曜15:00開演で、英国ロイヤル・オペラ日本公演に神奈川県民ホールに行ってきました。演奏曲目が、ヴェルディ/オペラ「オテロ」
9月12日公演の「ファウスト」と同様、指揮がアントニオ・パッパーノの英国ロイヤル・オペラの引っ越し日本公演であります。
このオペラは、新国立劇場で何度か公演され,お馴染みですが、ヨーロッパの演奏は何かが違うのです。日本の技術が劣る、とかの理由ではなく、風が違う、スメルが違う、情念が違う、要は生活文化の違いの現れでしょうか、有名な「柳の歌」などは途轍もない情念が沸き起こり、居たたまれなくなるのです。新国立劇場公演の凡そ3倍のチケット代金ですが、決して高いとの思いに至りませんでした。
次いでのことながら、新国立劇場での「ランスへの旅」藤原歌劇団公演の観劇は初めてで、演目の違いはさて置き、新国立劇場の定期演奏とは凡そ1/2の料金差があります。そして、今回の英国ロイヤル・オペラ劇場の引っ越し公演は、新国立劇場の定期演奏会との価格差は凡そ3倍です。しかし、この料金差に不満を感じない程に受ける感動は、比例して素晴らしいのです。
そんなこと当たり前だ、と言われればそれまでですが、オペラツアーで現地に行ってみても、この引っ越し公演ほどの感動は得られない、それは旅行者と言う諸々の事情を含んだハンデからと思うのです。だから、引っ越し公演は有難い存在であり、NBS には頑張って欲しいのです。
今般、この英国ロイヤル・オペラの公演を東京文化会館と神奈川県民ホールの二か所で鑑賞したのですが、県民ホールの場合、オーケストラが舞台上で演奏する交響曲のような演奏会では良い印象を受けないのですが、ここのホールでは、オケ・ピットに入ったオーケストラの音は、極めて良好であり、このホールはオペラ劇場であるが故と再認識した次第です。

9月18日横浜関内にある、ライブハウス「バーバーバー」に北村英治の演奏を聴きに行ってきました。今年90才とのことで流石に歳を感じるようになり、サイドの奏者がしっかり支えての演奏は、頼もしくもあり熱の籠った演奏は往時の蘇りを思わせるものでした。
我々世代には、欠かせないアーティストの北村英治ですが、当日の客には若い人も結構居られ、最近の若者の嗜好を疑っていましたが、そうでも無い様子には何か頼もしい思いが募った次第です。
そして、北村英治のサイドを担う奏者、ドラムの八城邦義の演奏には、技の冴えに磨きが掛かり、これは次世代を担う頼もしい気概であろうと、この世界もまだまだ続くでしょう。
PA を控えめに使う、ここ「バーバーバー」にも拍手であります。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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