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colums会長のコラム

会長のコラム 141

7月のコラムです。毎年7月は、コンサートの開催件数が絞られます。腰痛に悩まされた6月には、行けずに振ったコンサートも有り、やや回復した腰痛をみるに、何とも皮肉な状況であります。
と、言うことで7月のコンサートは26日土曜の音楽堂での神奈川フィル定期演奏会のみでした。
脊柱管狭窄症と言う病気の症状は、何とも不思議であります。この病気の権威である医師に知人が居りまして、安心だから手術をしなさいと進められていました。
しかし、経験者の話では、手術しても再発する可能性があるから、やらないほうが良いと進言してくれる人が大勢居り、その生々しい経験の話を聞くに及んで益々躊躇するに至っています。
また、この狭窄症による腰痛の書籍が多く書店に出ています、それを貸してくれる友人もおりまして、随分勉強しました。それらの大方の内容では手術はしない方が良いと言うものが圧倒的で、ネットなどで検索してみても、可なり怪しいものなども有りますが、大方その方向でした。
変わるべき何か良い方策は無いか、選択には気も遣ったし、無駄なお金も使いました。
一時期10mも歩けない状態で、しかも医者の処方する痛め止めの薬が効かない状況でした。
その時に狭窄症の名医に診察して貰い、何枚ものMRI写真を眺めながら手術を勧められたのですが、それとは別に、ペインクリニックで成功した友人からペインの治療を進められ、主治医に話しましたら「良いんじゃないか」と言います。
また狭窄症の名医に話してみると、絶対では無いが「良いんじゃないか」と言う回答でしたので、取りあえず掛かる事にしました。
結果は痛み止めの薬が効くようになった状態で、この隙に患部の血行が良くなる運動とストレッチに励む事にしています。
前月のコンサートに行けないような状態は一応解消しています。しかし、これで、完治と言うわけではなく、今は完治に向けてストレッチ、運動などの血行改善に時間を割かなければならないのですが、これが思うようには行かないのです。
あれもこれも、欲張りは駄目と解っているものの、何かを犠牲にしないとこの先、行けませんね。

7月は暑いし、腰の具合も程ほどであるし、ハードウェアーも一段落している拙宅のチャンネル・アンプシステムで、専ら音楽を聴くことに専念したこの7月でした。
その結果色々と判った事があります。チャンネルデバイダーのカットオフ周波数でのロールを急峻にすると不自然な音になると言う事を前回レポートしましたが、この点について解って来た事を、考察する事にします。
現状、ミッドレンジとハイレンジのカットオフ周波数は4kHzk 、そのロールが6dB/octの場合と48dB/octの場合を切り替え設定としました。そしてミッドレンジのスピーカーがWE-22A+WE-555、 ハイレンジがゴトーのベリリューム振動版のホーンです。
これでロールの緩峻さの2つの設定を切り替えながら、いろいろなジャンルのレコードで音楽を楽しみつつ聴いてみました。その結果、ロールを急峻にした方がシャキッとして一見良い音に聞こえるのですが、オーディオ装置は音楽を聴くための装置と言う観点から、今回は、ジックリ音楽を聴き比べたわけです。
その結果判ったことは、例えばバイオリンの演奏の場合では、シャープに切った場合だと、周波数の帯域によって、ミッドレンジから聞こえたり、ハイレンジから聞こえたりするわけで、それぞれのスピーカーから別々の音色が聞こえて来るのです。これがどうも、音楽を不自然にしている原因と判断しました。
以前、ウイーンフィルのコンサートマスター、キュッヘルさんとの会合に参加した時に聞いた事ですが。その時の質問は、「世界のウイーンフィルだから、第一バイオリンのメンバー全てがストラデバリウスを持っているのですか?」と言うバカな質問をしました時のキッヘルさんの回答では、
「私と少しの者はストラデバリウスを持っています。しかし、メンバー全員に同じ楽器を持たせるとオーケストラの音として実に詰まらない音になる」と言っていました。オーケストラの音は違う楽器の音色が寄り集まって、ハーモニーが作られるとの事でした。
この事を考えると、カットオフのロールは急峻よりもルーズである事が良いと言う事に繋がります。
オーディオマニアの方で、10チャンネルのチャンネルアンプを用いている人が居られると言います。それを仰るのは、あるオーディオ評論家の方ですが、大変良い音だと言って居られます。
しかし、キュッヘルさんの論点や私の経験したチャンネル間の緩急度の違いからすると、信じられない事です。何時の日かに、この方のシステムを聞かせて頂きたいと思っています。
しかし、オーディオは、聴く人の音楽を理解する仕方が違うと、それも有りと言う事もありますから、人様のものを評論するのは、とても難しいことです。この場は、信じられないと言う事でご理解頂く事にし、何れのか機会を期待してください。

7月の音楽ライフは、神奈川フィルの定期演奏会・音楽堂シリーズのみでした。
7/26(日)15:00時開演のマチネコンサートに行ってきました。
オーケストラ:神奈川フィルハーモニー、指揮:鈴木秀美、コンサートマスター:崎谷直人

演奏曲目:
C・P・Eバッハ/シンフォニアニ長調
ハイドン/交響曲88番「V字」
ベートーベン/交響曲第5番「運命」

指揮者の鈴木秀美は、国内外のコンクールで最高位を獲得し、バッハ・コレギウム・ジャパンの初代からのチェロ首席奏者を務める我が国のトップチェロ奏者です。
指揮分野では、バッハからベートーベンに至る作曲家に精通し、この間を一つの時代として捉える音楽解釈での一人者でもあります。
ベートーベンの運命の生演奏を聴くのは久しぶりであり、しかも神奈川音楽堂での演奏は大変興味あるものでした。
鈴木秀美の音楽解釈の時代の流れから、C.P.Eバッハ、ハイドン、ベートーベンへと続く演奏会は、鈴木氏の音楽解釈を理解する上で、当を得たものと理解し、響きの良い音楽堂では楽器の存在を生々しくその位置を表現しつつ、オーケストラのハーモニーを形成する。
その表現度合いは、他に例を見ない優れたもので、聞くたびに新しい音楽の要素を理解する感じがしてなりません。
マチネコンサートは、私もそうですが聴衆の方々に何か余裕があるのでしょう、拍手も盛大であるし、何と言ってもプログラムが終わって席を立つ人が一人も居ない、これでは、アンコールに応えないわけには行きません。
ここで演奏された、ハイドンの交響曲77番の第2楽章は綺麗なメロディーで素晴らしい曲でした。私はこの曲を全く知りませんでした。
鈴木秀美は、ハイドンには何時になっても「ハッ」とするものが有ると言っていましたが、これが、それを意味するものかと思った次第です。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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