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colums会長のコラム

会長のコラム 139

5月連休明けから急に腰の病が悪くなり苦しんでいます。医者に言わせると5月初めは気温が温かかったが、連休の終わり頃から気温が不順となり、病んでいる人が多いと言います。
しかし、私の場合は状況急変で、トイレに行くにも支障を来す急変ですから、ただ事では有りません。立って歩く事が厳しく50mも歩けません、しかし、座っている時は痛みが無く、お蔭で車の運転は全く支障が無いので助かっています。
町医者では埒が明かないので、知人の紹介でペインクリニックを受診する事にし、かかっていた町医者に事情を話し紹介状とMRIの写真を貸して貰う事を依頼したところ、嫌味たっぷり言われつつも一応紹介状と写真は出してくれました。
ペインクリニックに付いての結果は始まったばかりなので、効果の程は解りませんか何もしない町医者よりは良いのではと思っています。

今月は、ローマ歌劇場の引っ越し公演が2演目、そして新国立劇場がどう言う訳か今月に限って2演目、そして、神奈川フィル定期演奏会が2演目と盛沢山なコンサートが予定されていたから大変です。
オペラ公演に行くのは、健康な状態でも大変なのです。横浜から都心に行くのも難義、しかも帰りは深夜であり食事は何時するのかいろいろ工夫が必要です。今迄ですと、都心のホテルに宿泊していたのですが、腰痛を患う様になってからは、ホテルへの宿泊も気が進まなくなっています。
今では終演後は速やかに車を飛ばして横浜に帰ってくる事が多くなっています、これとて楽な行動では有りません。
と言う事で、神奈川フィルの定期の1つはキャンセル、新国立劇場のR・シュトラウス/アラベッラ公演もキャンセルと言う結果になってしましいました。
今月のコラムは、ローマ歌劇場のシモン・ボッカネグラの公演が5/31土曜だったので、このコラムもその公演が終わってから書き始めましたので、何時もよりアップするのが遅れてしまいました。

自宅の3チャンネルアンプシステムを置いた部屋の床材が、工事業者に言わせると欠陥商品だったので、工事をやり直すと言うのです。腰痛を抱えた私としては穏やかでは有りませんでした。業者が言うには、何もしなくて結構だから指図だけお願いしますとの事で工事を始めました。
しかし、スピーカーシステムや3チャンネル分のアンプが6台も床に転がっているので、指図と言っても工事屋さんのセンスでは寸分の気も抜けません。腰は痛いし、その内嫌気が指して如何にでもなれ的な心境になって来るので、自分でもヤバイと感じ、慎重にと自分に言い聞かせながら、大変な思いで完了しました。
腰痛で伸び伸びになっていたDEQXの再調整作業もその後の調査で解ったことですが、どうやら、DEQX の能力が1.7mの音遅れを修正する事が出来ない事が判明、それによる副作用が出ている事が明確になりました。それで、音遅れの修正と音場補正を分けてDEQX を操作する事を試みる事になり、部屋の工事による音環境の変化と相まって、このタイミングでの工事がグッドタイミングとなった訳です。
しかし、この作業も私の腰痛で、なかなか、進まないのが現状で6月半ばには結論を出したいと準備中です。
腰痛のためにあらゆる予定が順送りとなり、これが、首が回らなくなったと言う現象なのでしょう、兎に角、今月は、腰痛に振り回された1か月間でした。

と言うことで、今月はローマ歌劇場のオペラ「ナブッコ」、「シモン・ボッカネグラ」、新国立劇場のオペラ「カバレリア・ルスチカーナ」、そして、神奈川フィルの音楽堂シリーズに付いてレポートします。
新国立劇場のオペラ「アラベッラ」は家内が友達を誘って出掛けました。また、神奈川フィル定期演奏会みなとみらいホール・シリーズは、2枚とも友人ご夫妻が喜んで行ってくれましたので、無駄にはなりませんでしたが、そんな訳で鑑賞レポートは無しと言う事であります。

ローマ歌劇場公演 ヴェルディー/オペラ「ナブッコ」 5月20日(火)上野文化会館にて18:30開演で行ってきました。
指揮がリッカルド・ムーティー、この名門ローマ歌劇場はミラノスカラ座、ウイーン国立歌劇、等の後塵を拝する傾向があると言われています。しかし、ムーティーが指揮台に立つと、途端にピリッとして往年の実力を発揮する等と言われています。
その為かどうか、当日の演奏は素晴らしかったの一言です。歌手陣もブランドに関係なく、ムーティーが今一番旬な歌手を選りすぐったと言うだけあって、素晴らしい公演でした。
私は、この「ナブッコ」と言うオペラに付いて、曲の素晴らしさに惚れていたのですが、筋書きが今一理解出ずにいたのです、当日の演奏の素晴らしさに夢中になっていると、筋書はどうでも良いと思うに至り、曲に熱中していました。
すると、不思議にも、この筋書が理解出来るようになるのですね、要は単なる異母姉妹の争いでして歴史的、政治的、宗教的な意義など、筋書と全く関係が無いことを理解し、実に単純明快なる事を理解しました、「なーんだ、単にそう言う事か」まあ音楽の素晴らしさを堪能すれば、それで良し、と言うことであります。お前さん、「今頃、何言ってるんだ」と言われそうです。

新国立劇場 マスカーニ/カヴァレリア・ルスティカーナ、レオンカヴァレロ/道化師の2演目を5月14日(木)19:00開演で行ってきました。
指揮レナード・バルンボ、オーケストラは東京フィルハーモニー、指揮のレナード・バルボンはイタリアのオペラ劇場を中心に活躍し、世界の一流歌劇場への出演も多い人です。新国立劇場には3度目の出演となります。
カヴァレリア・ルスティカーナの観劇は久しぶりでありましたが、このオペラは私にとってNHKが招聘したイタリア歌劇団の印象が強烈に刷り込まれています。それは、ドミンゴとコソットの協演によるものでして、今考えるとこのゴールデンキャストは2度と観劇出来るものでは有りませんでした。
当時、私は仕事柄当時としは貴重な業務用VTRを持っていました、その録音テープを繰り返し聞きそして観ていました。オペラの好きな知人友人の間で、テープの持ち回りでなくVTRデッキごとの持ち回りで、今では想像出来ないことですが、当時は極めて贅沢な行動で、随分有難がられ仕事の受注にも役立った思い出を伴ったオペラです。
そして、レオンカヴァレロ/道化師です。この二つの演目は公演時間からして、2本立てが常であります。私が言うのもおこがましい事ですが、良く出来たオペラであり、オペラ入門に最も相応しいオペラです。
当日の演奏は、この道化師が優れており、見応えが有ったように思えます。それと言うのもNHK招聘時の ドミンゴ とコッソット の協演が余りにも強烈に刷り込まれていた影響が大と思います。この時のオペラ道化師は、当時当たり役としてマリアデル・モナコが演じる道化師役が飛びぬけて有名でしが、この時にはデル・モナコの来日が叶わず、駆け出しの生意気盛りのオペラファンだった私としては、何か乗れなかった思いが有ったのを思いだします。
オペラに付いて偉そうに言う私ですが、所詮その程度の鑑賞力で、芸術鑑賞などと言う大それたものでありません。

神奈川フィル定期演奏会 音楽堂シリーズ 5月24日(土)15:00開演で行ってきました。
この音楽堂シリーズは今シーズンから始まったもので、今月は16日の「みなとみらいシリーズ」と2回の定期演奏会がありました。みなとみらいシリーズの方は、腰痛の痛みが激しく友人に上げてしまいましたので、レポートはありません。
さて、音楽堂シリーズ第一回演奏会です。指揮が宮本文明、ファゴットが鈴木一成、コンサートマスターが新任の崎谷直人、等による、ハイドン/交響曲1番モーツアルト/ファゴット協奏曲、ビゼー/交響曲と言う構成でした。
曲の性格上オーケストラの構成は少し小ぶりとなります。指揮者は失礼ながら小ぶり、独奏者も当オーケストラの首席と言う具合でカネを掛けずに最大の効果を発揮する意図が窺えます。しかも、ホールが音楽堂と言う日本一の響きを持つ優れものです。
こうして、土曜日の午後、水準の高い演奏を聴いて、終演後は横浜の名店で食事でもしようか、と考えると、この環境を作ってくれた、神奈川フィルの粋な発想に感謝であります。

ローマ歌劇場公演 ヴェルディー/シモン・ボッカネグラ 5/31(土)上野文化会館にて15:00開演のマチネに行ってきました。
先日に続き、今回の来日公演の第2弾です。先の公演「ナブッコ」と言い、今回の「シモン・ボッカネグラ」と言い観客を興奮のるつぼに放り込んでしまう、このエネルギーは何処から来るのだろう。何が素晴らしいのか一言では言い尽くせませんが、毎月観劇している新国立劇場からは、この様なエネルギーを感じとる事は出来ません。
今回来日の目玉であった、ソプラノのバルバラフリットがキャンセルになり、そのマリア・ボッカネグラ役が、エレオノーラ・ブラットが代役を務めました。実に素晴らしいソプラノの歌唱に加えて美人であり容姿が良く、マリアにぴったりの役でありました。
大合唱の中から抜け出してくるソプラノの声は実に見事としか言いようがありません。この日の歌手は、全て私の知らない人ばかりでしたが、全てリッカルド・ムーティ―の選んだキャストとの事、流石であります。両公演でのオーケストラ演奏も何か気合いというか、訴えるものが日本のオーケストラとは一味違います。
確かに、東京フィルや東京交響楽団の演奏も素晴らしいと思うのですが、ローマ歌劇場オーケストラは、何か余裕の様な器の大きなものを感じます、そして管楽器の上手さ、特にホルンの上手さは比較のしようが有りません。
このバルバラ・フリットは、キャンセルの常連でして、私の場合、彼女の日本での出演オペラは3回振られています。彼女のキャンセルは、日本公演に限ったことでは無いとのことですが、僅か、4日遅れのリサイタルはキャンセルしないとの事、こちらの、チケットも手にいれていますから、それは結構な事なのでかすが、代替えが出来ないリサイタルとなると真剣にならざるを得ないのでしょうか。
今回のローマ歌劇場の日本公演は、2演目だけでしたが、ムーティ―の肝いりのオーケストラ、もちろん、合唱団まで全てローマから連れて来たのです。だから、観る者に感動を与えるのも当然かもしれませんが、そのチケット代金は新国立劇場の3倍までもしません、考えてみるとその価値は3倍以上であるし、掛る経費も3倍どころでは無いでしょう、今回の公演はそれぞれ3回有ります。
オペラ歌手の岡村喬生さんは、ご自分の経験から公演の回を重ねるほど赤字が募ると言います。だからスポンサー無くして成立しないのでしょう、音の悪いと言われるNHKホールで観客数を稼ぐのでしょう、しかしオペラは実に楽しいものです。
ステレオサウンド社の 原田勲会長は、ブルーレイディスクで大画面を見ているだけで至福の時と言っておられました。オペラ観劇にご執心だった原田さんでしたが、ご家庭の事情で今は出かける事が出来ないのです、腰痛を抱えながらの私もこれからに備えをと思ってご意見参考にしています。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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